「試験機」とは、製品や試験片に負荷を与えたり、環境の違いを試験機の中に作り出したりすることで、その経過や結果として強度・剛性・耐久性・弾性などの物理的特性(物性)を数値として検出したり、形状を観察する装置です。
日常生活にあるほとんどの製品は、試験機で試験を行った材料を元に製造されています。
なぜ試験機が必要とされているのか
結論ですが、
①「自社製品を購入していただくための信頼を得るため」
②「新たな製品の研究開発を行うため」
になります。
それぞれの理由を次で説明させていただきます。
・自社製品を購入していただくための信頼を得るためものづくり企業はたゆまぬ努力と研鑽を地道に積み重ねることで、新しい価値を消費者に提供し続けています。
ただ、自社の製品や素材がいくら優れているものだとしても、購入前に良さをわかってもらうのは簡単ではございません。「自社で定めた基準で評価を行いました!」と言ったとしても、第三者的に認められた基準や評価でないのであれば信憑性に欠けるからです。
しかし、ものづくりにおいては品質の基準として定められているJIS規格※1 やISO※2 などの産業製品に関しての規格があります。
試験機は基本的にJIS規格やISOに遵守した試験を行うことができるので、JIS規格やISOなどの規格を満たした製作された製品だという証明になります。
このことが自社製品を購入していただくための信頼を得ることに繋がります。
もし自社製品がどの規格に当てはまるのかを知りたい場合は試験機メーカーに相談してみることもおすすめです。
・新たな製品の研究開発を行うため研究開発を行う際、この素材はどのくらい引張強度があるのか?どのくらいの衝撃に耐えられるのか?どのくらいの温度に耐えられるのか?など様々な検証や評価をすることが不可欠です。
試験機であれば同じ条件下で試験を行うことができるため、サンプル比較の結果が正確に出てきます。
※1 JIS規格
Japanese Industrial Standards の略称
日本の産業製品に関わる規格や試験方法などを標準化する目的で定められた、日本の国家規格です。日本のものづくりの技術・品質のレベルを一定に保ち、全国的に統一することを目的としています。
※2 ISO(国際標準化機構)
International Organization for Standardization の略称
ISOは世界最大の国際標準化組織です。世界中の製品・モノ・サービスの品質などを標準化・統一することを目的としています。また、サービスや企業体の仕組みなどにおいても、一定のルールや品質の標準化を目指しています。
試験機の活用例
どのような製品に試験機が活用されているのかここでご紹介いたします。
1つの製品に多くの試験機が使われていることもあります。
ここで紹介した活用例はほんの一部です。他にも多くの製品や材料に試験機は使われています。
試験と試験機の種類
-
衝撃・破裂
衝撃試験機、万能低温衝撃試験機、パンメルテスター、インターナルボンドテスター
-
熱的性質
ヒートデストーションテスター、加熱変形試験機、皮革収縮温度測定機、ゲルタイムテスター、ビニルレザークロス耐寒試験機、脆化温度試験機、低温弾性回復試験機、ゲーマンねじり試験機、クラッシュバーグ柔軟温度試験機、エナメル線軟化点試験機、酸素指数燃焼性試験機、プラスチック燃焼性試験機、電線燃焼性試験機、織布燃焼性試験機、MVSS燃焼性試験機、織布45°燃焼性試験機
-
厚さ・粘度・比重
ウェットフィルムシックネスゲージ、フローカップ、平行板粘度計、自動平行板粘度測定装置、たれ試験器、比重カップ
-
引張り・圧縮・曲げ
材料試験機、フォームラバー繰返し圧縮試験機、リングクラッシュテスター、段ボール容器圧縮試験機
-
こわさ・引裂き
オルゼン形剛性度試験機、ハンドルオメーター、ガーレー式柔軟度試験機、テーバー式ステフネステスター、クラーク形柔軟度試験機、カンチレバー形柔軟度試験機、エルメンドルフ形引裂度試験機、織布エルメンドルフ形引裂度試験機
-
物理的性質
圧縮永久ひずみ試験機、ウィリアムプラストメーター、リュプケ式反発弾性試験機、マックバーニへこみ試験機、残留へこみ試験機
-
摩耗・摩擦
テーバー式アブレーションテスター、ランボーン摩耗試験機、DIN摩耗試験機、アクロンゴム摩耗試験機、自動車用低圧電線耐摩耗試験機、マグネットワイヤー摩耗試験機、スクレープテスター、NBSゴム摩耗試験機、ウィリアムス摩耗試験機、プラスチック滑り摩耗試験機、スコット形耐軟摩耗試験機、ガードナー式落砂摩耗試験機、ガードナー式ウォッシャビリティテスター、クロックメーター、学振形摩耗試験機、サウザランド形ラブテスター、スリップテスター、O-Yプルスリップテスター、5連式スリップテスター、マロン機械的安定度試験機、キャブタイヤケーブル摩耗試験機、電動往復摩耗試験機
-
加工性
メルトフローインデックステスター、セミオートマチックキャピラリーレオメーター、テストミキシングロール、粒度測定機、ボールタックテスター
-
サンプル作製・調整
試料成型機、ノッチ加工機、2個より装置、試験用加硫プレス、試験用小型プレス、ヒートシーラー、テープ圧着ローラー、ショッパー形試料打抜器、両刃式試料打抜器、簡易試料裁断器、コンパウンド研磨機、パーマートン形試料調整機、ベーカー式フィルムアプリケーター、オートマチックフィルムアプリケーター、オートマチックフーバーマーラー、フィルムアプリケーター、バーコーター
-
屈曲・疲労・クリープ
デマチャ屈曲試験機、キャブタイヤケーブル屈曲試験機、床材疲労試験機、フレキシオメーター、プラグ屈曲試験機、光ファイバ屈曲試験機、ケーブル可とう性試験機、ロスフレキシングテスター、FPC屈曲試験機、MIT形耐折度試験機、ショッパー形耐折度試験機、クリープテスター、複合クリープテスター、応力き裂試験器具、光ファイバ圧壊試験機、コンセントプラグ開閉試験機、ドアハンドル耐久試験機、ヒンジキャップ開閉試験機
-
環境・促進
ギヤー式老化試験機、テストチューブ老化試験機、オゾン老化試験機
-
パルプ・繊維製品
ショッパー形検ねん器、ICI形ピリングテスター、ICI形メーススナッグテスター
-
硬さ・吸着性・強度
鉛筆引っかき硬度試験機、塗料描画試験機、クロスカット加工機、革の銀面割れ試験機、爪先剥離試験機、塗膜屈曲試験器、エリクセン塗膜強度試験機、ガードナー式マンドレル屈曲試験器、スプリングエロンゲーションテスター、エナメル線軟らかさ試験機
-
化学的性質
手動防水度試験機、スプレーテスター、織布耐水度試験機、クレム吸水度試験機、ガーレー式吸水度試験機、カールサイズテスター、フェンチェル伸縮度試験機、ガーレー式デンソメーター、皮革透湿度試験機、透湿カップ、印刷インキ乾燥試験機、ノーピックアップタイムテスター、RCI形ドライングタイムレコーダー
試験の詳細
-
引張試験とは
No.216
引張り・圧縮・曲げ試験
-
衝撃試験とは
No.258
耐衝撃試験
-
学振形摩擦試験とは
No.428
耐摩耗・耐摩擦試験
-
デマチャ式屈曲試験とは
No.119
耐屈曲試験①
-
MIT形耐折度試験とは
No.307
耐屈曲試験②
-
メルトフローレートとは
No.120
流動性・加工性試験
-
荷重たわみ温度試験(DTUL)とは
No.148
耐熱性試験
-
ギヤー式老化試験とは
No.102、103
強制循環形熱老化試験
-
クリープ試験とは
No.145
クリープ試験
-
新規格「JIS K7317 機能性フィルムの引っかき硬さの求め方」とは
No.553
引っかき硬度試験
-
【JIS規格解説】短冊試験片の成形・ノッチ加工について
No.189
短冊試験編の成形
-
プラスチック燃焼性試験とは
No.252-UL-94
燃焼性試験
-
デュポン式落下衝撃試験とは
No.517
デュポン式落下衝撃試験
-
脆化温度試験とは
No.121
脆化温度試験