たくさんのパーツから製品が組みあがっていく様子は本当に感動します。まさに「職人の技」。
お客様のご要望にあわせた仕様で製品をご提供できるのも、受注生産ならではの強みだと思います。
さて、今回はねじのお話です。安田精機製作所で使っているねじの種類を教えていただきました。
<安田精機製作所で使用されているねじの種類一例>
◆六角穴付ボルト 別名:キャップボルト
使用工具:六角レンチ、トルクレンチ
・六角レンチで強力に締め付け可能
・ざぐり穴に埋込み可
・上からレンチで締められるため、隣接して配置可能
・上向きにねじ締めする際、六角レンチの先に差し込んで取付られ、作業性がよい
◆六角ボルト
使用工具:スパナ、トルクレンチ
・スパナで強力に締め付け可能
・安価
・スパナで横から締めるため、他の部品やボルト同士と近い場合に干渉する
◆皿ねじ
使用工具:プラスドライバ、マイナスドライバ
・取付部品表面に皿もみ加工を施すことで、ねじ頭を埋込み可
・ドライバで締めるため締付け力は弱い
◆トラスねじ
使用工具:プラスドライバ、マイナスドライバ
・外径が大きく設置面積が広いため、ワッシャ不要でパネルの固定ができる
・ドライバで締めるため締付け力は弱い
◆止めねじ 別名:ホーローセット、イモネジ、ビス、セットビス、スクリュー
使用工具:六角レンチ
・ネジ頭がなく、ネジ穴に埋め込める
・プーリーやギアに埋め込み、シャフトとの固定に用いる
実際に装置を触っていると、ねじがたくさん使われているのがよく分かります。用途を知ると「だからここにはこのねじなのか!」と、理解できるようになりました。
素晴らしい気付きですね。ねじを適切に使うことは品質を守る上でも重要です。たったねじ一本のゆるみが、機械の故障のみならず重大な事故につながることだってありますから。
そういえば、ねじってどうしてゆるんでくるんでしょうか。運転の振動で少しずつ動いてしまうというのはなんとなく想像できるのですが。。。
いい質問です。でも実はこれは奥が深い話で、ねじがどうしてゆるむのかを知るには、まず「ねじがどういう仕組みでしまるのか」を知る必要があります。
どういう仕組みでねじがしまるのか、、、考えたこともなかったです。
では、具体的に下のイラストを見ながら考えてみましょう!ねじをつまんで回していくと、ねじはナットのねじ穴に入り込んでいき、やがてねじの頭が止めたい物に接触して止まりますね。
ではそこからさらに、ドライバーやレンチなどの工具で強力にしめ付けることを考えてみましょう。
ねじは回されると相変わらずねじ穴に入り込んでいこうとするので、「ねじの頭」から「ねじの噛み合い部」の間の部分には引張りの力がかかります。この引っ張る力によって、実はごくわずかにねじが伸びるんです。
えええ!ねじが伸びるんですか!?ねじって鉄などの硬い金属でできているし、伸びるというのが信じられないのですが、、、
「硬い」ということはあくまで「力を加えたときに変形しにくい」ということであって、引っ張る力が十分に大きければ金属であっても伸びるんです。これは中学理科で学習する「ばねの伸びと力の関係」と全く同じで、身の回りのものは基本的には力をかけると変形するバネのような性質、専門的な言葉でいうところの「弾性」を持つのです。
なるほど!確かにバネにも硬いもの柔らかいもの色々あるから、、、今回のねじもとてつもなく硬いバネと考えれば納得がいきます。
なのでいったん、ねじの軸はバネのようなものと考えてみよう。では、ここで質問。ばねが伸びた状態で固定されているとき、バネの両端にはどんな力が働いていると思いますか?
元の長さまで縮もうと両端を引っ張る力ですね!?
その通り。この元に戻ろうとする力、復元力とも呼称される引張の力が両端には生じています。つまり、工具でしめられて伸びたねじにもこれと同じ引張の力が生じていて、この力でねじは物どうしを強力に固定しているんです。
それが「ねじがしまる仕組み」なんですね!
この伸びたねじが元に戻ろうとして生じる引張の力は「軸力」と呼ばれ、ねじの強度計算をするにあたって最も重要な値なんです。
一見超単純なねじですが、実は工学的に奥が深い部品なんです。
今までねじがしまる仕組みなんて考えたこともありませんでしたが、聞けば聞くほど面白いな!と思いました。でも、今日聞いたことはまだまだねじの入り口なんですよね、、、もっと詳しく勉強してみようと思いました!
ねじがしまる仕組みが分かったところで、次回はねじがゆるむ理由と、それを防ぐためのワッシャーについてお話しますね。
はい!
いよいよ本題ですね!よろしくお願いします!