機能性フィルムは、その名の通り、特定の機能や性質を備えたフィルムの総称です。その用途は非常に幅広く、今やわたしたちの生活になくてはならない技術と言えます。2022年に「機能性フィルムの引っかき硬さの求め方」がJIS規格に制定され、産業の中での重要性がますます高くなっております。安田精機でも上記の規格に対応した製品を販売しております。
今回のブログでは、さまざまな業界から注目されている機能性フィルムを取り上げて、その技術の高さと用途と広さをご紹介していきます。生活に身近な用途から、最先端の技術革新を支える一面まで、機能性フィルムの魅力を存分に感じてください。
<目次>
機能性フィルムとは
機能性フィルムは、プラスチックフィルム、樹脂板、合成紙、金属などの素材の単体または複合した基材に、インク、塗料、コーティング剤、無機材料、金属材料などの機能をもつ材料を、印刷、コーティング、表面処理といった加工を施して作られます。簡単に言えば「いろんな素材をいろんな材料を用いて加工して作ったフィルム」です。
素材、材料、加工のいずれも、上記で紹介したほかにもさまざまな種類があり、日本の素材産業では、様々な技術が結集され、高度な機能性を持つフィルムが開発されています。次の章からは、機能性フィルムの技術に迫りつつ、フィルムが用いられている業界や身近な用途を紹介します。
日本の素材産業を代表する機能性フィルムの技術
日本の素材産業を代表する機能性フィルムの技術は、その高度な特性と多岐にわたる応用範囲において注目を集めています。以下に、機能性フィルムの代表的な技術について説明します。
高度な密封性能
食品や医薬品などの製品の保存や包装において重要なのが、密封性です。目に見える物体へのバリア機能はもちろん、酸素や湿気など目には見えないけれど有害な要因となるものから製品を保護するには、フィルムが有する高い密封性が活躍します。この技術は、食品鮮度の維持や医療機器の耐久性向上などに貢献しています。
光学技術の進化
家電やディスプレイ関連の産業では、機能性フィルムの高度な光学技術が駆使されています。反射防止や透明性の向上、指紋防止などはディスプレイの見やすさ、鮮明さに寄与します。この技術は、スマートフォンやテレビなどのデジタル機器に広く利用されています。
抗菌・防汚技術
医療機器や食品包装などにおいて、機能性フィルムは抗菌性や防汚性を有することが求められます。これにより、医療機器のクリーンな状態維持や食品包装の衛生面での安全性が向上します。
熱・電気絶縁技術
自動車や電子機器の製造においては、機能性フィルムが持つ熱や電気を通さない性質(絶縁性)が有効活用されます。これにより、電子機器の保護や複雑な配線が実現します。
これらの技術が複合的に組み合わさることで、機能性フィルムはさまざまな業界で広範囲に用いられています。日本の素材産業は、これらの技術を駆使して高品質かつ高機能な機能性フィルムを開発し、国際的な競争力を獲得しているといっても過言ではありません。
様々な業界で活躍する機能性フィルム
機能性フィルムは、その多様な特性から、生活に身近な業界からそうでない業界まで幅広く利用されています。その中でも特に注目されている業界や用途を紹介します。
食品
食品業界では、機能性フィルムが食品の包装や保存において重要な役割を果たしています。高い酸素遮断性や湿気防止機能を備えたフィルムは、食品の鮮度を保ち、品質を維持するのに欠かせません。また、電子レンジや湯船などの高温調理、冷凍、真空パックなど、さまざまな条件下での使用を想定した製品が開発されています。
医療
医療業界では、機能性フィルムが医療機器や診断機器の製造に利用されています。抗菌性や安全性はもちろん、各滅菌方法に対応していたり、無菌室での取り扱いが可能だったり、医療現場を想定したさまざまな機能が搭載されています。
印刷
機能性フィルムは印刷業界でも革新的な進展を遂げています。高解像度で印刷できるフィルムは、包装デザインや広告などで利用され、製品の魅力を引き立てます。透明性や反射防止機能を備えたフィルムは、ディスプレイやポスターなどにも利用されています。
家電
家電製品においても、機能性フィルムは欠かせない素材です。指紋防止や耐傷性を備えたフィルムは、家電本体やディスプレイやスイッチの保護フィルムとして使われるのが一般的です。また、抗菌フィルムで衛生機能を向上させたり、調光フィルムでディスプレイの視認性を向上させたりする技術も活用されています。
精密機器
精密機器の製造においても、機能性フィルムは重要な要素です。電子機器やセンサーの保護フィルムとして使用され、耐熱性や耐久性を高めています。また、微細な加工技術を駆使したフィルムは、半導体製造などの分野でも活用されています。
自動車
自動車業界でも機能性フィルムは幅広く利用されています。車のガラスに使用される断熱フィルムや、車内の装飾に使われるフィルムなどはみなさんも触れる機会が多いかもしれません。車の外装には塗装や劣化を軽減するフィルムが、セキュリティ対策が必要な車両には防弾ガラスフィルムが使用されることもあります。
エネルギー
機能性フィルムはエネルギー分野においても重要な役割を果たしており、さまざまな用途で活用されています。たとえば太陽光発電パネルには、透明で耐候性があり光学特性を制御するためのフィルムが使用され、太陽光を効率的に収束して太陽電池の発電性能を最大限に引き出すように設計されています。
まとめ
機能性フィルムは、高度な技術と多様な特性から、さまざまな産業で不可欠な存在となっています。食品業界からエネルギー業界まで、その応用範囲は広がり続けており、これからも新たな技術や用途が生まれることが期待されます。それらの性能・製品を確かなものにするため、安田精機の試験機が活躍できることは大変な喜びでもあります。
日本の素材産業が世界に誇る技術の一翼を担う機能性フィルムは、私たちの日常生活に革新的な変化をもたらし続けることでしょう。