JIS規格

JIS規格は日本の国家標準の一つです。工業製品や電化製品に限らず、JIS(ジス)マークがついた製品は身の回りに溢れています。JIS規格で定められている製品=規格に沿って作られた品質が担保された製品、ということはわかりますが、なんのためにある規格なのか・どうやってできた規格なのかを知っている人は少ないのではないでしょうか?

このページでは知っているようで意外と知らない「JIS規格」に焦点を当て、作られた目的や、成り立ちを解説していきます。知人に話したくなるちょっとしたマメ知識があるかもしれません。ぜひ楽しみながら読み進めてください。

JIS規格の目的

JIS規格

JIS規格の正式名称は日本産業規格で、JISはJapanese Industrial Standardsを略した語です。日本の産業製品に関する規格や測定法が定められた日本の国家規格であり、製品やサービスを標準化させる役割があります。JIS規格が用いられるのは、産業製品、文字コードやプログラムコードなどの情報処理分野、サービスなど多岐にわたります。

製品やサービスを標準化させる目的や意義について、日本産業標準化調査会は次のように述べています。

産業標準化の意義は、具体的には、自由に放置すれば、多様化、複雑化、無秩序化してしまう「製品」や「サービス」などについて、

  1. 互換性・インターフェースの整合性の確保、生産効率の向上、品質の確保
  2. 安心・安全の確保、消費者保護
  3. 正確な情報の伝達・相互理解の促進
  4. 環境保護(省エネ、リサイクル等)
  5. 高齢者・障がい者への配慮
  6. 研究開発による成果の普及、企業の競争力の強化、貿易の促進

など、それぞれの観点から、技術文書として国レベルの「規格」を制定し、 これを全国的に「統一」又は「単純化」することであると言えます。

引用「産業標準化について

まとめると、JIS規格の目的は、製品やサービスを国レベルで統一させて、使用性や安全性を高めることです。たとえば、トイレットペーパーは直径のロールの大きさが120mm以下とJIS規格で定められています。わたしたちが毎回違うメーカーのトイレットペーパーを買ったとしても苦労せずに自宅のホルダーに取り付けられるのは規格によって標準化されているおかげです。

JIS規格の成り立ち

JIS規格

JIS規格の歴史は古く、始まりは明治時代にまで遡ります。1921年にそれまで民間で定められていた工業規格の見直しが起こり、工業品の規格を統一するための勅令によって1941年までに520件の規格が制定されました。

戦後の1946年に再度規格の改定が行われ、工業標準化法の制定により、JIS規格の前身である日本工業規格が制定されます。さらに2018年に工業標準化法の改正が行われ、2019年に現在のJIS規格(日本産業規格)の名称がつけられました。もともと製品に定められていた規格でしたが、2019年の変更に伴い、文字やコードなどの情報やサービスも規格に含まれるようになりました。

JIS規格の固有番号を解説

JIS規格

JIS規格で定められている製品には、次のような固有の番号がつけられています。

例)JIS G 3122

このような番号がつけられていることで、仕様書や契約書などで、詳細を省略してもスムーズに取引や調達を行うことができます。上記の番号の意味を解説します。

G=部門記号:製品が所属する部門をカテゴリーに分けている ※下記に詳細あり
3122=分類番号:識別するための4桁(一部5桁)の番号

番号の中のアルファベットはA~Zまであり、それぞれの文字は次の部門を表しています。どんな部門があるかを見ることで、JIS規格が多様な製品やサービスを統一する規格であることがわかります。

【部門記号一覧】

A(土木及び建築)
一般・構造/試験・検査・測量/設計・計画/設備・建具/材料・部品/施工/施工機械器具

B(一般機械)
機械基本/機械部品類/FA共通/工具・ジグ類/工作用機械/光学機械・精密機械

C(電子機器及び電気機械)
測定・試験用機器用具/材料/電線・ケーブル・電路用品/電気機械器具/通信機器・電子機器・部品/電球・照明器具・配線器具・電池/家電製品

D(自動車)
試験・検査方法/共通部品/エンジン/シャシ・車体/電気装置・計器/建設車両・産業車両/修理・調整・試験・検査器具/自転車

E(鉄道)
線路一般/電車線路/信号・保安機器/鉄道車両一般/動力車/客貨車/綱索鉄道・索道

F(船舶)
船体/機関/電気機器/航海用機器・計器/機関用諸計測器

G(鉄鋼)
分析/原材料/鋼材/鋳鉄・銑鉄

H(非鉄金属)
分析方法/原材料/伸銅品/その他伸展材/鋳物/機能性材料/加工方法・器具

K(化学)
化学分析・環境分析/工業薬品/石油・コークス・タール製品/脂肪酸・油脂製品・バイオ/染料原料・中間物・染料・火薬/顔料・塗料/ゴム/皮革/プラスチック/写真材料・薬品・測定方法/試薬

L(繊維)
試験・検査/糸/織物/繊維製品/繊維加工機器

M(鉱山)
採鉱/選鉱・選炭/運搬/保安/鉱産物

P(パルプ及び紙)
パルプ/紙/紙工品/試験・測定

Q(管理システム)
標準物質/管理システム等

R(窯業)
陶磁器/耐火物・断熱材/ガラス・ガラス繊維/ほうろう/セメント/研磨材・特殊窯業製品/炭素製品/窯業用特殊機器

S(日用品)
家具・室内装飾品/ガス石油燃焼機器・食卓用品・台所用品/身の回り品/はきもの/文房具・事務用品/運動用具/娯楽用品・音楽用品

T(医療安全用具)
医療用電気機器類/一般医療機器/歯科機器・歯科材料/医療用設備・機器/労働安全/福祉関連機器/衛生用品

W(航空)
専用材料/標準部品/機体/エンジン/計器/電気装備/地上設備

X(情報処理)
プログラム言語/図形・文書処理・文書交換/OSI・LAN・データ通信/出力機器・記録媒体

Y(サービス)
一般・共通/産業機械

Z(その他)
物流機器/包装材料・容器・包装方法/共通的試験方法/溶接/放射線/マイクログラフィックス/基本/環境・資源循環/工場管理・品質管理

引用:「JIS( Japanese Industrial Standards)とは

JISマークを表示させるために必要な手続き

JISマークは、国から認証を受けた機関の審査をクリアした製品やサービスに表示させることができます。認証機関が、品質管理体制の基準適合性チェックや製品試験を行い、基準に適合していることが確認されると表示が認められます。

信頼性を確保するために、認証機関には4年ごとの更新審査や必要に応じた立ち入り検査、認証事業者には3年ごとの定期審査が行われます。

まとめ

JIS規格

このページでは、日本の国家規格であるJIS規格の目的や成り立ちを紹介しました。電化製品や自動車を始め、トイレットペーパーやマスクや鉛筆などの身近な製品にもJIS規格が定められています。ぜひ身の回りでJISマークを探してみてくださいね。