ハンマーの選定方法について
ハンマーの選定方法についてはアイゾット衝撃試験・シャルピー衝撃試験ともに以下のルールが適用されます。
吸収エネルギーが10〜80%以内に⼊るハンマーでかつ、それが複数ある場合は最⼤ひょう量のハンマーを⽤いる
これは下記の規格に準じているからです。
アイゾット衝撃試験の規格
吸収エネルギー(W)は、振り子エネルギー(E)の10%~80%で試験するのが適切である。表1の条件に適合する振り子が二つ以上ある場合には、エネルギーが最大の振り子を用いる。
出典:JIS K 7110 : 1990 7.3項
シャルピー衝撃試験の規格
エネルギーWは、衝撃試験機の衝撃に有効な位置エネルギーEの10~80%に入るのが適切である。これらの要求を満たす振り子が複数ある場合は、最も大きな容量の振り子を用いる。
出典:JIS K 7111-1:2012
最大ひょう量を選ぶ理由
最大ひょう量を選ぶ理由については、JIS B 7739(アイゾット・シャルピーとは別に衝撃試験そのものに対する規格)内になります。
位置エネルギー範囲内で、常に最大の位置エネルギーとなる振り子を選択し、使用する
出典:JIS B 7739:2011 附属書 C
これらを下記図を用いて解説します。
まず下記図についてですが横軸が衝撃エネルギー、縦軸が衝撃速度になります。
グラフ内の曲線がそれぞれのハンマーの10〜80%の範囲を表しています。
例えば衝撃エネルギーが1J の時、それを満たすハンマーが2,4,5,7.5J の4 つになります。
次にグラフ内の黒い実線ですが衝撃エネルギーを満たす最⼤のハンマーの範囲を⽰しています。
この黒い実線の速度範囲(赤く塗っている範囲)であれば、それぞれ衝撃直前→直後の減速が-5〜-10%以内になります。
つまり衝撃エネルギーに対して太線が⽰すハンマーを使⽤すれば、常に減速が-5〜-10%以内となる=ほぼ同じ衝撃速度(衝撃直後の速度)で試験ができます。
ハンマーを選定される際はお客様が試験される試料にもよりますので、
まずは、試料の衝撃(吸収)エネルギーを把握し、適切なハンマーを選定することが必要です。