カーボンブラックは、カーボン(炭素)から作られた原料です。タイヤや工業用のベルトなどのゴム製品を補強する用途で用いられることが多く、わたしたちの身の回りでも幅広く活用されています。ゴム製品に欠かせない素材ですが、知名度が低く、生活者にはあまり知られていないのが事実です。
今回のブログでは、カーボンブラックについて、原料としての特徴や用途をご紹介します。ものづくりに広く、長く携わってきた安田精機がお届けする「ものづくりマメ知識」を、ぜひ楽しみながら読んでみてくださいね。
<目次>
カーボンブラックとは
カーボンブラックは、炭素を原料として製造される黒色の微細な粒子や粉末を指します。炭素の含有量が多いため、色が黒く、ほかの黒色の原料と比較しても、カーボンブラックの色は非常に濃いのが特徴です。
カーボンブラックは素材の特徴を活かして、幅広く活用されている素材の一つです。次の章から、カーボンブラックの特徴や用途を見ていきましょう。
カーボンブラックの特徴
カーボンブラックは、素材が持つ特有の性質から多くの分野で使用されています。まずはカーボンブラックの特徴をご紹介します。
黒色と深い色合い
カーボンブラックは非常に濃い黒色をしています。このため、顔料や染料として使用され、製品に深みを与える役割を果たしています。
高い耐久性
カーボンブラックは耐摩耗性が高く、添加すると製品自体の耐久性が向上します。特にタイヤ、ベルト、ホースなどのゴム製品の耐久性を高める性質を持っています。
導電性
電気を通す性質があるのもカーボンブラックの大きな特徴の一つです。導電性があり、電気伝導をスムーズにすることに寄与します。この特性は電子デバイスや電池、導電性インクなどの分野で利用されています。
大きな表面積
カーボンブラックは微細な粒子の形をしているため、表面積が大きいです。この特徴は、吸着性や触媒としての機能を高めるのに寄与しています。
熱や化学変化への安定性
カーボンブラックは安定性があり、熱や化学変化に強いのが特徴です。したがって、高温環境などの厳しい条件下での使用に適しています。
軽量
カーボンブラックは比較的軽量でありながら、強度や耐久性が高い素材です。そのため、軽量化が求められる製品でも広く利用されています。
カーボンブラックの用途
カーボンブラックは多岐にわたる用途で、さまざまな産業分野で利用されています。以下は、カーボンブラックの主な用途です。
【カーボンブラックの用途】
・ゴム製品
・染料および印刷インク
・プラスチック
・導電/絶縁材料
・医療品や化粧品
・建材
・エネルギー機器
それぞれ簡単に説明します。
ゴム製品
カーボンブラックはゴム製品に広く使用されます。特に自動車タイヤに加えられ、耐摩耗性を向上させ、タイヤを裂けにくくする働きがあります。そのほかにも、コンベヤーベルト、シーリング、靴底などの製品にも使用されています。
塗料および印刷インク
カーボンブラックは塗料や印刷インクに添加されると、色の濃さや耐久性を向上させます。濃い黒色が求められる場合に活用されることが多いです。
プラスチック
カーボンブラックはプラスチック製品にも用いられ、強度や耐久性を高める役割を果たします。また、色の濃さを増すためにも使用されます。
導電・絶縁材料
カーボンブラックは導電性があり、電極の材料として使用されます。電池やコンデンサなどのエネルギー貯蔵デバイスの導電性の向上に寄与します。
医療・化粧品
カーボンブラックは医薬品や化粧品の着色料として利用されることがあります。一部の医療機器にも使用されています。
建材
コンクリートやアスファルトなどの建材の耐久性・耐候性を向上させる目的でも使われています。
カーボンブラックの可能性
カーボンブラックは上記の用途以外にも多くの可能性を秘めており、今後もさまざまな分野で活躍すると考えられています。
環境への配慮
カーボンブラックは再生可能な原料を使用したり、製造プロセスの持続可能性を向上させるなど、環境への配慮が進んでいます。このような取り組みにより、持続可能な製品開発の領域でも活躍する可能性が見込まれています。
新しい材料の開発
ナノテクノロジーや新しい材料工学の進展により、「ナノカーボンブラック」などさらに微細な粒子が活用され、新しい材料の開発や性能向上に寄与しています。
これらの可能性からもわかるように、カーボンブラックは多岐にわたる分野で利用され、その応用範囲は今後も広がることが期待されます。
安田精機の試験機はゴム業界でも活躍しています
安田精機製作所でも、カーボンブラックを原料に含むゴム製品の製造に関する試験機を開発しています。試験機名は「テストミキシングロール」。テストミキシングロールは、ゴムやプラスチックを混ぜ合わせるテストをするための機械です。業界ではテスト用混練(こんれん)ロールと呼ばれています。
試作品を作るために使用されることが多く、たとえば、ゴム製品を作りたいときにどの程度の割合でカーボンブラックなどの原料を混ぜ合わせれば必要な強度になるかをテストするために使用します。
一言にタイヤと言っても、いつ・どこで・どんな用途で使用されるかによって求められる強度は異なるので、多くのメーカーでは何パターンも試作品が作られています。試験機についてはこちらの製品ページをご覧ください。
まとめ
今回のブログでは、ゴム製品をはじめとする幅広い分野で活用されているカーボンブラックについて説明しました。あまり知名度が高くない素材ですが、身の回りのゴム製品や黒い製品にはこのカーボンブラックが混ざっているかもしれません。
安田精機のブログでは、今後も今回のような「ものづくりのマメ知識」をどんどん発信していきます。ぜひお楽しみに。
参考:カーボンブラック協会 / カーボンブラックの用途 / カーボンブラックとは?ゴム充填剤としてのカーボンブラック / テストミキシングロール