「ロボティクス」という言葉を聞いたことがありますか?ロボティクスとは、ロボットに関連する研究を行う「ロボット工学」を指し、ロボットの設計・制作・制御のための技術開発を行う研究や学問の総称です。ロボットテクノロジーと同じ意味で使われます。
近年あらゆる分野でロボットの導入が加速しています。飲食店で席に食事を届けてくれるロボット、自動で掃除をするロボットなど、日常生活の中でロボットを見る機会も増えたのではないでしょうか。ロボティクスは人手不足の解消や、経済発展のカギとして注目されています。
今回は、【安田精機】×【ロボティクス】をテーマに、製造現場に欠かせない「試験機」にどのようなロボティクスが導入されているかを解説します。人手不足を解消し、ものづくりのさらなる発展を支えるロボティクスについて一緒に考えていきましょう。
<目次>
ロボティクスが進化を続ける背景
ロボティクス(robotics)は、ロボット工学のことです。学問分野は、機械工学や情報工学からロボットの動力学、ロボット社会学など多岐にわたります。
現在、産業分野や医療・介護分野で研究開発が進められているロボティクス。めざましい進化の背景には、人手不足や人件費によって需要が高まっていること、技術の進歩で部品の価格が下がり提供しやすくなったことがあげられます。AIの進歩と連動し、第4次産業革命といえる大きな変化を迎えています。
急速な少子高齢化が続く日本で深刻な労働力不足問題。かつては、移民を受け入れて労働力を補うという考えが一般的でしたが、ロボットの進化により、「2040年までに多くの産業で人手不足を解消できる」と考えられるようになりました。
特に近年では、新型コロナウイルスやウクライナの紛争で世界中の供給網(サプライチェーン)に混乱が生じました。状況を打開するために、多くの企業でサプライチェーンの見直しが行われています。ロボティクスは工場での作業を自動化し、労働力不足を解消し、生産効率をあげるための一手としてさらなる期待が高まっています。
ロボティクスが活躍する分野
ロボティクスは農業から製造業、サービス産業までさまざまな分野で導入されています。日経ビジネスの記事ではロボットによる自動化について下記のようにまとめられています。
【第一次産業】×【ロボティクス】
農業の分野では2016年からロボティクスの導入が進んでいます。「農業収穫ロボ」がすでに使われていて、トマト・いちご・レタスなどを画像で成熟度を判断して収穫します。また、農機を自動運転することで20万人の人手不足を解消できるといわれているそうです。
【第二次産業】×【ロボティクス】
工場の自動化など広くロボットが活躍している分野です。同僚のように働く「協働ロボット」が開発され、で約97万人の労働力不足をカバーできるといわれています。
【第三次産業】×【ロボティクス】
卸・小売業の99万人、医療福祉の74万人など合計422万人の人手不足が想定される第三次産業でも、ロボットが活躍。「ロボット掃除機」「ロボット店員」「自動搬送ロボット」などがすでに実用化されています。
そのほか、宇宙開発の分野でもロボティクスが導入されました。2021年には日本で開発したロボットがアメリカのロケットに搭載され、国際宇宙ステーションで実証実験を済ませています。リスクやコストが大きい宇宙開発で、ロボットの活躍に期待が高まります。
試験・測定を自動化するロボットたち
弊社が提供する「試験機」にもロボティクスを導入しています。ここでは、【安田精機】×【ロボティクス】として、製造現場に欠かせない「試験」や「測定」作業で活躍するロボットを紹介します。「ロボットに複雑な試験ができるか」「ロボットの導入で現場がどう変わるのか」「どんな試験に対応できるか」という3つの疑問について解説していきます。
ロボットに複雑な試験ができるか
ロボットを使っても、手作業で行うような複雑な試験が可能です。しかも、工程が多い作業や長い時間を要する作業であっても常に同じ水準で作業ができるので、手作業よりも誤差が生じにくくなります。ヒューマンエラーがなくなり、全ての製品を同じ基準で試験できます。
弊社ではお客様のご要望に合わせたカスタマイズが可能なので、手作業で行っていた試験や測定のクオリティを下げることなく高い再現性で自動化を実現させられます。
ロボットの導入で現場がどう変わるか
ロボットによる自動化がもたらす大きな変化は、スタッフがルーティンワークから解放されることです。人員やコストをより重要性が高い箇所に投入でき、労働力不足の解消はもちろん、開発や事業規模の拡大にチャレンジしやすくなるメリットがあります。
また、試験結果の記録を自動化させれば、データの入力や管理の手間も省けます。サンプル情報から試験結果までシステムを使った一元管理が可能です。使用するコードや、記録するデータはもちろんカスタマイズできます。
たとえば、培養の試験では次のような流れでデータの管理が行われます。
【試験~試験結果管理までの流れの例】※他社事例
サンプルにコードを付与する
↓
コードを読み取る
↓
培地やサンプルにコードを印字する
↓
試験を実施して結果を得る
↓
試験結果を記録・上位システムに送信して管理
【記録できる情報の例】
・サンプルID
・試験開始時間
・添加サンプル量
・エラー発生工程
・試験終了時間
注意:上の事例は他社の事例です。
上の事例は弊社の製品とは異なりますが、弊社でもお客様のご要望に合わせた仕様のカスタマイズが可能です。次は実際に弊社に導入されているロボティクスを紹介します。
【弊社事例】どんな試験に対応できるか
安田精機では次のような試験や測定の自動化を実現しました。
■MFR測定
サンプル・充填・予熱カウント・試験測定・ストランドカット・秤量・炉体やダイの清掃の自動化
■衝撃試験
試験片の寸法測定、試験、試験片の回収の自動化
■荷重たわみ試験(HDT)
試験片の架台セット、試験、試験片の回収の自動化
また、上記の自動試験で得られた試験結果は、指定の書式でお客様の社内システムへ伝送(データ転送)できるように設計されています。ほかにもさまざまな試験の自動化を目指して技術革新に取り組んでいます。ぜひ、ご意見やご要望をお聞かせください!
まとめ
このページでは、あらゆる分野において、ロボティクスが導入されていることを紹介しました。とくに製造業では、パンデミックやウクライナ紛争を受けて、ロボティクスの重要性が高まり、供給の安定や労働力不足の解消、さらなる技術開発に寄与していることがわかります。
試験や測定の分野でも今後ますますロボットが活躍するでしょう。安田精機でも、常に新しい技術を取り入れ、世界中のものづくりに貢献していきたいと考えています。
参考:ロボティクスとは? さまざまな分野で活躍し始めているロボットたち/iTrustロボ|企業のサプライチェーンの見直しにロボティクス関連企業が果たす役割/スマートロボティック・ラボアシスタント