デマチャ式屈曲試験とは、ゴムに繰り返し屈曲変形を与え、亀裂が発生するまでの時間や亀裂の成長速度を測定するものです。デマチャ屈曲試験で試験される製品は、私たちの身近なゴム製品では自動車のタイヤなどがあります。長期間にわたり外部から刺激を与え続け、破壊に至るまでの過程を試験することで、安心安全な製品を作ることができます。
試験概要
上下のつかみ具に試験片を固定し、試験片を繰り返し屈曲させて、亀裂が発生するまでの時間や亀裂の成長速度を測定します。
試験機の構成
デマチャ式屈曲試験機には、試験片の一端をつかみ具で保持・固定する部分、および試験片の他端をつかみ具で保持し、往復運動をする移動部分があります。
試験方法
デマチャ式屈曲試験は下記の2種類があります。
- 屈曲亀裂発生試験
- 屈曲亀裂成長試験
それぞれの試験方法について解説していきます!
屈曲亀裂発生試験
試験片に繰り返し屈曲変形を与え、亀裂が発生するまでの時間、規定時間ごとの亀裂の数、亀裂の大きさを測定します。
試験手順
- つかみ具の間隔を最大にし、試験片を取り付けます。取り付ける際は、試験片の溝を手前にし、溝が両方のつかみ具間の中心にくるようにします。
- 試験機を運転し、試験片を屈曲させます。
- 各試験片に亀裂発生の兆候が見られるまでは、ときどき試験を止めて測定を行います。最初に亀裂発生の兆候が見られた時点の屈曲回数を記録します。
- 試験を再開。
1,2,4,8,24,48,72、94時間の間隔で試験片の状態を確認し、等級を判定します。また、試験片が完全に破壊される前に試験を中止し、その時点での等級を判定します。
判定方法
亀裂の長さ・数をそれぞれ測定し、等級を判定します。亀裂の大きさを確認する際はつかみ具間隔を65㎜とし、亀裂長さは溝と並行に測定します。ノギスなどを利用し、0.1㎜まで読み取ります。
等級 | 内容 |
---|---|
1級 | 肉眼で針穴のような亀裂が見られる(10個以下) |
2級 | 亀裂が11個以上、または最も長い亀裂の長さが0.5mm以下 |
3級 | 最も長い亀裂の長さが0.5mmより大きく、1.0mm以下 |
4級 | 最も長い亀裂の長さが1.0mmより大きく、1.5mm以下 |
5級 | 最も長い亀裂の長さが1.5mmより大きく、3.0mm以下 |
6級 | 最も長い亀裂の長さが3.0mmより大きい |
試験結果のまとめ方
屈曲回数を横軸に、等級を縦軸に取ります。それぞれの試験片が各級に達する屈曲回数の中央値を用いてグラフを描き、この曲線から次の屈曲回数を求めます。
- 亀裂が各級に達する際の屈曲回数
- 3級に達するのに要する屈曲回数
屈曲亀裂成長試験
試験片に繰り返し屈曲変形を与え、亀裂が規定の長さになる屈曲回数を測定します。
試験手順
- つかみ具の間隔を最大にし、溝が手前になるように試験片を取り付けます。取り付ける際は、試験片の溝を手前にし、溝が両方のつかみ具間の中心にくるように調整します。
- 試験機を運転し、試験片を屈曲させます。
- 試験片により適切な屈曲回数で試験を行います。
亀裂長さが試験前の切込み寸法(L㎜)から+10㎜以上となった時点で、完全に破壊する前に試験を終了します。
判定方法
各試験片について、屈曲回数ごとに成長した亀裂長さを測定します。
試験結果のまとめ方
縦軸に亀裂長さを、横軸に屈曲回数をとり、測定結果に基づいてグラフを描きます。そのグラフから、亀裂長さが下記の区分まで成長するのに必要な屈曲回数を求めます。
- 成長初期値:L㎜から(L+2)㎜まで
- 亀裂長さの成長中間値:(L+2)㎜を超えて(L+6)㎜まで
- 必要であれば、(L+6)㎜を超えて(L+10)㎜まで
試験条件について
試験片寸法
寸法は上記の図の通りです。
屈曲亀裂成長試験の場合、試験片に切り込みを入れる必要があります。切り込み用刃を試験片の中央に貫通させ、2.5~3.0㎜突き抜くことで切込みを入れることができます。
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試験片の数
6個が望ましいとされています
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屈曲速度
毎分300±10回
ゴムに関する試験
ゴムの機械的強度を確認する試験は、屈曲試験以外にもいくつかあります。
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引張試験(JIS K 6251)
試験片を規定速度で切断まで引っ張り、引張強さ・切断時伸び・降伏点伸びおよび引張応力を求めます。
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圧縮永久ひずみ試験(JIS K 6262)
ゴムの圧縮永久ひずみを測定し、そのへたり性を求めます。
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DIN摩耗試験(JIS K 6264-2)
回転ドラムに試験片を押し付けて摩耗させ、摩耗前後の試験片の質量から摩耗量を求め、比摩耗体積および摩耗抵抗指数を求めます。
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テーバー摩耗試験(JIS K 6264-2)
回転する円盤状の試験片に摩耗輪を垂直に押し付けて摩耗し、耐摩耗性を評価します。
安田精機の試験機:No.119 デマチャ屈曲試験機
カメラ搭載 デマチャ式屈曲試験機について
No.119-L-iR-20 デマチャ屈曲試験機(低温槽・画像処理機能付)は、JIS K 6260の屈曲試験を自動化することができます。亀裂長さの自動判定を行うため、試験中の定期観察が不要になります。そのため、オペレーターが試験に拘束される、夜間に試験を実施できない、などの悩みを解消することができます。
導入によるメリット
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屈曲試験の自動化
経過を画像で記録、亀裂長さ自動判定、試験結果表示などの機能
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多様な試験条件に対応
低温仕様、恒温仕様に対応可能
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試験後に画像の確認や亀裂長さの修正ができる
トレーサビリティの確立
関連製品
参考規格
- JIS K6260(2017)加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−耐屈曲亀裂性及び 耐屈曲亀裂成長性の求め方(デマチャ式)
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